中学生の頃、毎日の様にTRPG三昧の日々を過ごしていた。
平日は放課後、漫画研究会の部室だった美術室の一角で『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(新和)、『ソード・ワールドRPG』(富士見文庫)、『ロードス島戦記コンパニオン』(角川書店)、『ウィザードリィロールプレイングゲーム』(アスキー)といったシステムでワイワイ遊んでいた。
だから、私のカバンはいつもパンパンで、ノートや教科書の他に、ルールブックやキャラクターシートのコピー、マスタースクリーン、様々な形のダイス、そして布教用の水野良『ロードス島戦記』(角川文庫)と黒田幸弘『D&Dがよくわかる本』(富士見文庫)が必ず入っていた。

授業中にシナリオを拵えたり、友達と新しいTRPGのシステムを考えたり。

学校からの帰りは必ず、駅周辺の本屋とホビーショップのハシゴをしていた。
学校が吉祥寺にあったので、駅前になった本屋、まんがの森、駅ビルの本屋からPARCOに出て、PARCOの地下一階にあったポストホビーに寄ってから地下二階の本屋に行き、サンロードに出てルーエに行き、時間がある時は更にアニメイトや他の駅に出て荻窪の喜屋ホビーや中野の中野ブロードウェイなどにも行っていた。
もちろん、TRPG関連商品を見に行っていたのである。

メタルフィギュアやモジュール(シナリオ)などを眺めては、ため息をつくという日々。
ごくたまにメタルフィギュアを一つ、二つ買う程度。

休日は休日で、小学校の同級生・T島くんの家に集まってTRPGをやったり、ラルフ・バクシの『指輪物語』のアニメを観たり、友達が遊ぶファミコン版『Wizardry』(アスキー)を後ろから見たりして過ごしていた。
このT島くんが、小学生ながらませていて、授業中にこっそり読んでいたのがJ.R.R.トールキン『指輪物語』(評論社)や栗本薫『グイン・サーガ』(ハヤカワ文庫)、マイケル・ムアコック『ルーンの杖秘録』(創元推理文庫)などだった。濃ゆい。
彼からTRPGやファンタジーにまつわる知識を教えて貰っていた。いわば、T島くんは私にとってTRPGの師であった。

こんな塩梅だったので、勉強の成績は著しく低く、学習塾に通わされる事になったのだが、その行き帰りにもゲームブックや『ソード・ワールドRPG』のルールブックは手放さなかった。

TRPG者として実に恵まれた環境にいた私だったが、高校生になって色気付くと、足を洗ってTRPGからすっかり離れてしまった。
恋愛やダンスにのめり込み、私の冒険はここで終わった…かに見えた。
しかし、オタク心は捨ててはいなかった。
やがて実家の引越しのドサクサに紛れて、TRPG関連のモノが全て失われてしまったが、30代の前半の頃から、秋葉原に通う様になった。
向かった先はイエローサブマリン
そう、TRPG関連商品の購入の為である。
当時、SNSが流行り始めた時期で、mixiのコミュニティでTRPGのオフ会に参加する様になってから、再び復帰したのであった。



噺家になった今も、本棚からTRPG関連書籍を引っ張り出しては、ニヤニヤしている。